Unity 6.0からUnity 6.1へバージョンアップすると、どのような変更があるのでしょうか?
Unity 6.1では、単純な新機能の追加だけではなく、グラフィックス、2D、UI Toolkit、Android、Web、VFX Graph、Job Systemなど、Unityのさまざまな部分が改善されています。
また、既存機能の仕様変更や非推奨になったAPI、大量の不具合修正も含まれています。
この記事では、Unity 6.0からUnity 6.1への変更点を、できるだけ分かりやすく一覧にまとめます。
この記事のポイント
- Unity 6.1で追加された主な新機能
- パフォーマンス改善
- Android・Webなどのプラットフォーム変更
- APIや既存機能の変更
- 不具合修正
- Unity 6.0から6.1へ移行するときの注意点
Unity 6.1とは?
Unity 6.1は、Unity 6シリーズで最初の「Updateリリース」として2025年4月23日に公開されました。
Unity 6.0 LTSで実現された安定性とパフォーマンスをベースに、さらに新しいグラフィックス機能やプラットフォーム対応、パフォーマンス改善などが追加されています。
Unity公式では、Unity 6.1について「新しい機能、サポートされるプラットフォーム、パフォーマンス改善を提供する、プロダクション向けのUpdateリリース」と説明しています。
Unity 6.0 → 6.1 主な変更点一覧
まず、主な変更点を一覧で確認してみましょう。
| 分野 | 主な変更点 | 重要度 |
|---|---|---|
| URP | Deferred+レンダリングを追加 | ★★★★☆ |
| Graphics | Variable Rate Shading(VRS)対応 | ★★★★☆ |
| Graphics | RenderGraph・VRS関連APIを強化 | ★★★☆☆ |
| 2D | TileSet Assetなどを追加 | ★★★☆☆ |
| 2D | Sprite Editorを改善 | ★★★☆☆ |
| UI Toolkit | タブの取得・並べ替えなどを追加 | ★★★☆☆ |
| Shader Graph | UGUI向けサンプル、Spacewarp対応など | ★★★☆☆ |
| VFX Graph | コンパイル・実行性能を改善 | ★★★☆☆ |
| Job System | スケジューリング性能を改善 | ★★★☆☆ |
| IL2CPP | コード生成・GC関連を改善 | ★★★☆☆ |
| Android | Android SDK 36に対応 | ★★★★★ |
| Android | Android 11以降のシステムUI処理を変更 | ★★★★★ |
| Web | WebGPU対応を強化 | ★★★★☆ |
| Web | Brotliを標準圧縮形式に変更 | ★★★☆☆ |
| TLS | TLS 1.0 / 1.1のサポート終了 | ★★★★☆ |
| Physics | 一部APIを非推奨化・名称変更 | ★★★☆☆ |
| Input | Input ManagerをLegacyとして扱うように | ★★★☆☆ |
| Texture | PVRTCを非推奨化 | ★★★★☆ |
| Package Manager | パッケージ管理方法を改善 | ★★★☆☆ |
| Editor | メニュー、Asset Import、Scene Viewなどを改善 | ★★★☆☆ |
| 不具合修正 | Editor、Graphics、2D、Androidなどを大量に修正 | ★★★★★ |
ここから、それぞれの変更点を詳しく見ていきます。
1.URPに「Deferred+」が追加
Unity 6.1では、Universal Render Pipeline(URP)に**Deferred+**という新しいレンダリングパスが追加されました。
Deferred+ではクラスターベースのライトカリングを利用することで、多数のライトを効率的に処理できるようになっています。
特に、
- 多数のライトを使用する3Dゲーム
- 広いゲームフィールド
- 多数のオブジェクトを表示するゲーム
などで活用が期待できます。
ただし、すべてのゲームでDeferred+に変更する必要があるわけではありません。
現在のプロジェクトでForwardや従来のDeferredを利用している場合は、まずは現在の設定を維持したままUnity 6.1へ移行するのが安全です。
2.Variable Rate Shading(VRS)を強化
Unity 6.1では、**Variable Rate Shading(VRS)**関連の機能が強化されています。
VRSは、画面全体を同じ解像度・同じシェーディング精度で処理するのではなく、視覚的な影響が小さい部分の処理負荷を下げることで、GPU性能を効率的に利用するための技術です。
Unity 6.1では、
- CommandBuffer
- RenderGraph
- RTHandle
などでVRSを利用するためのAPIが追加されています。
高性能な3DゲームやXRなどでは、パフォーマンス改善につながる可能性があります。
3.2D機能が強化された
Unity 6.1では2D関連にも多くの改善が入っています。
主な変更点は、
- TileSet Asset
- AutoTile
- Sprite Editorの改善
- Sprite Atlas関連の改善
- Tilemap関連の改善
- 2D Rendererの改善
などです。
特にSprite Editorでは、SpriteのSliceなどに関する操作性が改善されています。
2Dゲームを制作している人にとっては、Unity 6.1の恩恵を受けやすい部分です。
4.UI Toolkitが強化された
UI Toolkitにも機能追加があります。
Unity 6.1では、
- タブを取得
- タブヘッダーを取得
- タブの並べ替え
などが可能になりました。
また、UI BuilderやProfilerとの連携も改善されています。
UI Toolkitを使ってゲームのUIやUnity Editor拡張を作っている場合には便利な変更です。
5.Shader Graphが強化された
Shader Graphにもいくつかの改善があります。
主な変更点は、
- UGUI向けShader Graphサンプル
- Canvas Target
- Spacewarp対応
- Time Nodeの改善
- 高DPI環境でのアイコン表示改善
などです。
特にUGUI向けのShader Graphサンプルが追加されたことで、Shader Graphを利用してUIをカスタマイズする場合に参考にしやすくなりました。
6.VFX Graphのパフォーマンスが改善
Visual Effect Graph(VFX Graph)では、内部処理の最適化が行われています。
主な改善内容は、
- Shader生成時間の短縮
- VFXコンパイル時間の短縮
- GPU EventのInstancing対応
- RenderQueue処理のスレッド化
- メモリ使用量の削減
VFX.Updateのメインスレッド負荷削減
などです。
VFXを大量に利用するゲームでは、制作時の待ち時間や実行時の負荷軽減につながる可能性があります。
7.Job Systemの性能を改善
Unity内部のJob Systemも改善されています。
Unity 6.1では、
- Job Systemのスケジューリング改善
- CPUスレッド数が増えた場合のスケーリング改善
- Job完了時のスレッド起床処理の改善
などが行われています。
これは新しい設定を追加するタイプの機能ではありません。
ゲーム側で特別な対応をしなくても、Job Systemを利用している処理では性能改善の恩恵を受けられる可能性があります。
8.IL2CPPも改善
IL2CPPでは、コード生成やメモリ関連の改善が行われています。
例えば、
- GC Write Barrierの最適化
- IL2CPPビルド時のシンボルファイル処理改善
- 型・フィールド情報の出力方法変更
などがあります。
ゲーム開発者が直接意識することは少ない部分ですが、ビルドや実行時の内部処理を改善する変更です。
9.Android SDK 36に対応
Androidアプリを開発している人にとって、Unity 6.1で特に重要なのがAndroid関連です。
Unity 6.1ではAndroid SDK 36に対応しました。
また、Androidのビルド環境も更新されています。
Android向けゲームを制作している場合は、
- SDK
- Gradle
- Android Gradle Plugin
- Androidプラグイン
などとの互換性を確認することをおすすめします。
10.Android 11以降のシステムUI処理が変更
Unity 6.1では、Android 11以降でシステムUIを制御する方法が変更されています。
従来の、
setSystemUiVisibility
ではなく、
WindowInsetsController
や
setDecorFitsSystemWindows
などのAPIが利用されるようになりました。
この変更は、
- Fullscreen Mode
- Hide Navigation Bar
- Render outside safe area
などに影響します。
通常のゲームでは大きな問題にならないこともありますが、画面いっぱいにゲームを表示しているAndroidアプリでは実機確認をおすすめします。
11.WebGPUへの対応
Web関連では、WebGPUへの対応が強化されています。
WebGPUは、Webブラウザー上でGPUを利用して高度なグラフィックス処理を行うための新しいAPIです。
Unity 6.1ではWebGPUがWeb向けの重要なGraphics APIとして利用できるようになり、今後のWebゲーム開発にも関係してくる機能です。
12.Webの圧縮形式がBrotli中心に
Web向けビルドでは、圧縮についても変更があります。
Unity 6.1ではWeb向けビルドでBrotliが標準的な圧縮形式として利用されるようになっています。
WebGLゲームではゲームデータのダウンロードサイズや通信速度にも関係するため、Web向けゲームを制作している場合は確認しておきたい変更です。
13.TLS 1.0 / 1.1のサポート終了
Unity 6.1では、内部のMbedTLSがバージョン3.6へ更新されました。
これに伴い、
TLS 1.0 / TLS 1.1がサポートされなくなりました。
現在のWebサービスではTLS 1.2以降が一般的なので、多くのゲームでは問題になる可能性は低いでしょう。
ただし、古いサーバーや古いネットワークサービスと通信しているゲームでは注意が必要です。
14.PVRTCが非推奨になった
Unity 6.1では、**PVRTCテクスチャ圧縮が非推奨(Deprecated)**になりました。
既存プロジェクトでPVRTCを利用している場合は、将来的なUnityバージョンアップも考えて、他のテクスチャ圧縮形式への移行を検討したほうがよいでしょう。
特にiOS向けプロジェクトでは、使用状況を確認しておくことをおすすめします。
15.Physics関連のAPIが変更された
Physics関連では、いくつかのAPIが変更・非推奨化されています。
例えば、
Rigidbody.SetDensity
は非推奨となり、
Rigidbody.mass
を利用することが推奨されるようになりました。
また、2D Physicsでは、
angularDrag→angularDampingdrag→linearDamping
という名称変更も行われています。
自作スクリプトでこれらのAPIを利用している場合は、コンパイル時の警告などを確認しましょう。
16.Input ManagerがLegacy扱いに
Unity 6.1では、従来のInput ManagerについてLegacyであることを示す扱いが強くなっています。
Unityでは現在、Input System Packageの利用が推奨されています。
ただし、
Unity 6.1にしたら突然Input Managerが使えなくなる
というわけではありません。
既存プロジェクトでInput Managerを利用している場合は、急いで変更する必要はありません。
新規プロジェクトや今後長期間メンテナンスするプロジェクトでは、Input Systemへの移行を検討するとよいでしょう。
17.Build Profilesがさらに強化
Unity 6.1ではBuild Profiles関連も強化されています。
Build Profilesを利用することで、プラットフォームごとに異なるビルド設定を管理しやすくなります。
例えば、
- Android
- Windows
- Web
など、それぞれのビルド環境を整理できます。
複数プラットフォーム向けにゲームを開発している場合に便利な機能です。
18.Editorもさまざまな部分が改善
Unity Editor自体にも多くの改善があります。
例えば、
- Assetsメニューの整理
- Editメニューの整理
- Asset Importの改善
- Scene Viewの改善
- UI Builderの改善
- Editorのクラッシュ修正
- Editorのメモリリーク修正
- Linux EditorのCPU使用量改善
などです。
機能追加だけでなく、普段のUnity Editorを安定して使うための改善が多数含まれています。
19.Graphics関連の不具合修正
Unity 6.1ではGraphics関連の不具合も大量に修正されています。
例えば、
- Vulkan関連のクラッシュ
- DirectX 12関連のクラッシュ
- Ray Tracing関連のクラッシュ
- RenderGraph関連の問題
- Shadow関連の問題
- Lightmap関連の問題
- Graphics API関連の問題
などです。
グラフィックス機能を多用する3Dゲームでは、こうした修正による安定性向上もUnity 6.1へ移行するメリットの一つです。
20.2D関連の不具合も多数修正
2D関連でも多くの修正が行われています。
例えば、
- Sprite Atlas
- Sprite Packer
- Light 2D
- Tilemap
- RenderGraph 2D
- Mipmap生成
などに関する不具合が修正されています。
Unity公式のリリースノートでは、Unity 6.1.0f1だけでも多数の2D関連修正が掲載されています。
21.Build関連の不具合も修正
ビルド処理についても改善されています。
例えば、Build and Runを利用した際に、
- Shaderの構文エラー
- その他のエラー
が発生した場合に、ビルド失敗として正しく扱われないケースが修正されています。
また、失敗したビルドの内容が次のビルドで再利用されてしまう問題なども修正されています。
ゲーム開発では「ビルドできること」そのものが重要なので、こうした修正も見逃せません。
Unity 6.0 → 6.1で特に注意したい変更
ここまでの内容を、既存プロジェクトをUnity 6.1へ移行する視点で整理すると、次のようになります。
| 確認項目 | 注意度 | 確認内容 |
|---|---|---|
| Android | ★★★★★ | SDK、Gradle、画面表示 |
| Graphics | ★★★★☆ | URP、Shader、Vulkanなど |
| Input | ★★★☆☆ | Input Managerを使用しているか |
| Physics | ★★★☆☆ | 非推奨API・名称変更 |
| Texture | ★★★★☆ | PVRTCを使用していないか |
| Web | ★★★☆☆ | WebGPU、圧縮方式 |
| TLS | ★★★★☆ | 古いサーバーとの通信 |
| Package | ★★★☆☆ | 使用中Packageとの互換性 |
| UI Toolkit | ★★☆☆☆ | UI Toolkit使用時 |
| VFX Graph | ★★☆☆☆ | VFX Graph使用時 |
| 2D | ★★☆☆☆ | 2Dゲームの場合 |
| Build | ★★★★☆ | 実際に各プラットフォームでビルド |
Unity 6.1への移行前にやっておきたいこと
既存プロジェクトをUnity 6.0から6.1へ移行する場合は、いきなり本番プロジェクトを開くのではなく、バックアップやGitなどで戻せる状態にしておくことをおすすめします。
移行前チェックリスト
- プロジェクトをバックアップする
- Gitなどで現在の状態を保存する
- 使用しているUnity Packageを確認する
- Input Managerを使用しているか確認する
- PVRTCを使用していないか確認する
- 独自Shaderを確認する
- Android SDKを確認する
- Androidプラグインを確認する
- AdMobやFirebaseなど外部SDKを確認する
- Unity 6.1でプロジェクトを開く
- Consoleの警告・エラーを確認する
- Androidなど各プラットフォームでビルドする
- 実機で動作確認する
Unity 6.0から6.1への移行は必要?
では、Unity 6.0を使っている人はUnity 6.1へ移行したほうがよいのでしょうか?
これはプロジェクトによって変わります。
新しいゲームを作る場合
新規プロジェクトであれば、Unity 6.1の新機能やパフォーマンス改善を利用できるため、移行を検討しやすいでしょう。
開発中のゲームの場合
すでに開発が進んでいるゲームでは、
「新機能が必要かどうか」
を基準に判断するのがおすすめです。
特にリリース直前の場合は、無理にUnityのバージョンを変更する必要はありません。
Androidアプリの場合
Android SDKやGradleなどの環境も変わるため、
必ず実機でビルド・動作確認を行う
ことをおすすめします。
Unity 6.0 → 6.1の変更点まとめ
Unity 6.1では、派手な新機能だけではなく、Unityのさまざまな部分が改善されています。
特に大きな変更をまとめると、
グラフィックス
- URP Deferred+追加
- Variable Rate Shading対応強化
- RenderGraph関連強化
- Graphics関連の不具合修正
2D
- TileSet Asset
- AutoTile
- Sprite Editor改善
- Sprite Atlas・Tilemap関連改善
UI
- UI Toolkitのタブ機能強化
- UI Builder改善
- Shader GraphのUGUI対応
パフォーマンス
- Job System改善
- IL2CPP改善
- VFX Graph高速化
- Editor・Asset Import改善
Android
- Android SDK 36対応
- Android 11以降のシステムUI処理変更
- Androidビルド環境の更新
Web
- WebGPU対応
- Brotli圧縮
- Web関連機能改善
仕様変更
- TLS 1.0 / 1.1サポート終了
- PVRTC非推奨
- 一部Physics API変更
- Input ManagerのLegacy化
不具合修正
- Editor
- Graphics
- 2D
- URP
- HDRP
- Android
- Build
- UI Toolkit
- IL2CPP
など、非常に多くの不具合が修正されています。
まとめ
Unity 6.1は、Unity 6.0から大きく方向性が変わったバージョンというより、
「Unity 6.0をベースに、新機能・パフォーマンス・プラットフォーム対応・安定性を幅広く強化したアップデート」
と考えると分かりやすいでしょう。
特に注目したいのは、
「URPのDeferred+」
「VRS」
「2D機能強化」
「WebGPU」
「Android SDK 36」
「Job System・VFX Graphなどの性能改善」
です。
一方、既存プロジェクトを移行する場合は、
「Android環境の変更」
「PVRTCの非推奨化」
「TLS 1.0/1.1のサポート終了」
「Physics APIの変更」
「Input ManagerのLegacy化」
などに注意する必要があります。
Unity 6.1のリリースノートには、ここで紹介した内容以外にも非常に多くの細かな改善・不具合修正が掲載されています。
そのため、Unity 6.0から6.1へ移行する場合は、新機能だけを見るのではなく、「自分のプロジェクトで使っている機能に変更がないか」を確認することが大切です。
参考
Unity公式のUnity 6.1リリース情報・リリースノートも、移行前に確認しておくことをおすすめします。
- Unity 6.1公式発表
- Unity 6000.1.0f1 リリースノート
- Unity 6.1の各アップデートリリースノート

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