Unityで開発している「登場人物ノート」と「家計簿ノート」を、Unity 6.1からUnity 6.3 LTSへ移行することにしました。
Unity 6.3 LTSは、Unity 6.0 LTS以来のLTSリリースです。
今回は、
- Unity 6.3 LTSで何が変わったのか
- UI Toolkitにはどんな改善が入ったのか
- Androidアプリ開発で注意するポイント
- Unity 6.1から6.3へ移行するときに確認したいこと
をまとめてみます。
Unity 6.3 LTSとは?
Unity 6.3 LTSは、2025年12月にリリースされたUnity 6シリーズのLTS(Long Term Support)版です。
Unity 6.3 LTSは2027年12月までサポートされる予定です。
Unityでは、LTS版について「ライブサービスゲーム」や「特定のUnityバージョンに制作環境を固定したいプロジェクト」に適していると説明しています。
そのため、長期間運用する予定のアプリでは、最新のUnityを追い続けるよりも、LTS版に移行して安定した開発環境を作るという選択肢があります。
今回、登場人物ノートと家計簿ノートをUnity 6.1からUnity 6.3 LTSへ移行するのも、この考え方によるものです。
Unity 6.3 LTSで何が変わった?
Unity 6.3 LTSでは非常に多くの改善が行われています。
すべてを紹介するとかなりの量になるので、今回は個人開発やAndroidアプリ、特にUI Toolkitを利用している場合に関係しそうなものを中心に紹介します。
1.UI Toolkitがさらに強化された
今回、個人的に特に注目しているのがUI Toolkitの改善です。
Unity 6.3では、UI Toolkitに以下のような機能が追加されています。
- UI Test Framework
- USSフィルター
- SVGのネイティブサポート
- UXMLのImage要素の改善
- Aspect Ratio対応
- UI Shader Graph
- テキスト描画の改善
- UI Builderの改善
特にUI Toolkitを中心にアプリを作っている場合は、かなり興味深いアップデートです。
UI Test Framework
Unity 6.3では、UI Toolkit向けの新しいテストフレームワークが追加されました。
マウスクリック、キーボード入力、スクロールなどの操作をシミュレートして、UIが期待した状態になるかを自動テストできます。
例えば、
「このボタンを押したら画面が切り替わる」
「この入力欄に数字を入力したら正しい値になる」
といったUIの動作を自動的に確認できます。
UIが複雑になってくると、手作業で毎回確認するのは大変なので、今後活用できそうな機能です。
USSフィルター
UI Toolkitでは、CSSのようなフィルターをUSSから利用できるようになりました。
例えば、
- 透明度
- 色調
- グレースケール
- セピア
- 反転
- ブラー
などの視覚効果をUIに適用できます。
アプリの見た目を少しリッチにしたい場合にも使えそうです。
SVGをより簡単に利用できる
Vector GraphicsがUI Toolkitのコアモジュールとして統合され、SVGをUI Toolkitで利用しやすくなっています。
SVGは拡大・縮小しても画像が荒れにくいため、アイコンなどとの相性が良さそうです。
UXMLのImage要素が改善
これまでUSSの--unity-imageなどを使って画像を設定していたケースでも、Unity 6.3ではUXMLのsource属性を利用してImageの画像を指定できるようになりました。
UI BuilderからImage要素を直接扱うこともできます。
UIをUXML+USSで管理しているプロジェクトでは、使いやすくなりそうな変更です。
2.Android開発環境が更新された
Androidアプリを作っている場合は、Unity 6.3の変更をしっかり確認しておいたほうがよさそうです。
Unity 6.3ではAndroidのビルド環境が更新され、
- Gradle 9.1.0
- Android Gradle Plugin 9.0.0
が採用されています。
Unityが自動的に対応してくれるケースもありますが、Custom Gradle Templateを利用している場合や、Android向けのサードパーティプラグインを利用している場合は注意が必要です。
家計簿ノートのようなAndroidアプリでは、Unity Editor上で問題がなくても、最終的には実機で確認することが重要です。
3.Androidの最低対応バージョンが変更
Unity 6.3では、Androidの最低サポートバージョンが**Android 7.1(API Level 25)**になっています。
古いAndroid端末まで幅広くサポートしているアプリの場合は確認が必要です。
4.Android 16への対応
Unity 6.3ではAndroid 16に関係する設定も追加されています。
特に大画面端末における、
- 画面の向き
- リサイズ
- アスペクト比
などの挙動について、Android 16の仕様変更に対応するための「App Category」設定が追加されています。
Android向けアプリを長期間運用する場合には、このあたりも確認しておきたいところです。
5.UnityWebRequestがHTTP/2に対応
UnityWebRequestでは、サーバー側が対応している場合にHTTP/2を利用するようになりました。
Androidを含む複数のプラットフォームで利用できます。
ネットワーク通信を多く行うゲームやアプリでは、通信効率やサーバー負荷の改善につながる可能性があります。
ただし、通常のローカル中心の家計簿アプリでは、この変更を意識する場面はそれほど多くないかもしれません。
6.Profilerがさらに使いやすくなった
Unity 6.3ではProfilerにも改善が入っています。
保存したProfilerセッションを管理できる「Captures List」が追加されました。
また、Highlights ProfilerではCPUやGPUの処理時間をまとめて確認できる詳細表示も追加されています。
「なんとなく重いけど、どこが原因なのかわからない」というときに、以前より調査しやすくなりそうです。
7.2D Physicsが強化された
Unity 6.3では、Box2D v3をベースにした低レベル2D Physics APIが追加されています。
Box2D v3では、
- マルチスレッド性能の改善
- 決定性の向上
- デバッグ機能の改善
- Gizmosの改善
などが行われています。
2Dゲームを作る場合には注目したいアップデートです。
ただし、登場人物ノートや家計簿ノートのようなUI中心のアプリでは、直接利用する機会は少なそうです。
8.検索機能が改善された
Unity SearchのバックエンドがLMDBベースに変更され、特に大きなプロジェクトで検索性能が改善されています。
プロジェクトの規模が大きくなるほど、Editorでの検索速度は開発効率に影響します。
小規模な個人開発では劇的な違いはないかもしれませんが、長くUnityを使っているプロジェクトでは嬉しい改善です。
9.Build Profilesが改善
Unity 6.3ではBuild ProfilesのUIも改善されています。
必要な設定だけをBuild Profileに追加して管理できるようになり、
- Scene
- Scripting Defines
- Player Settings
- Quality Settings
- Graphics Settings
などをプロファイルごとに管理しやすくなっています。
Android版、Windows版など複数のビルド設定を持つプロジェクトでは便利そうです。
Unity 6.1からUnity 6.3へ移行するときの注意点
ここからが実際の移行で重要なところです。
Unity 6.3では多くの改善が入っていますが、Unityのバージョンアップでは「新機能」よりも「既存プロジェクトへの影響」を確認することが重要です。
1.まずGitで現在の状態を保存する
移行前に必ず現在のUnity 6.1版をGitへコミットしておきます。
例えば、
Unity 6.1移行完了状態
というコミットを作っておくと安心です。
問題が発生した場合に、Unity 6.1の状態へ戻せるようにしておきます。
2.プロジェクトを直接上書きしない
できれば、
KakeiboNote
KakeiboNote_Unity61
KakeiboNote_Unity63
のように、Unity 6.3用の作業環境を分けておくと安全です。
特に公開済みアプリの場合は、
「アップグレードしてから元に戻せない」
という状態を避けたいところです。
3.6.2の変更点も確認する
今回の移行は6.1 → 6.3ですが、Unity公式の6.3ドキュメントは「6.2から6.3への変更」を中心に説明しています。
そのため、
6.1 → 6.2 → 6.3
と、それぞれのアップグレードガイドを確認しておくのがおすすめです。
Unity公式ドキュメントでも、バージョンアップ時には途中のバージョンの変更点も確認する考え方が示されています。
Unity 6.2では、UI ToolkitやAndroid、Graphicsなどにも変更があります。
4.Package Managerを確認する
Unityをアップグレードすると、Unity Package Managerのパッケージも更新される場合があります。
特に確認したいのは、
- Input System
- UI Toolkit関連
- TextMeshPro
- Unity Test Framework
- Android関連パッケージ
- Advertisement関連
- その他サードパーティ製パッケージ
などです。
パッケージのバージョンアップによって、今まで動いていたコードに警告やエラーが出る場合があります。
5.UI Toolkitを重点的に確認する
今回の2つのアプリでは、UI Toolkitをかなり利用しています。
そのため、移行後は特に、
- UXML
- USS
- UIDocument
- PanelSettings
- フォント
- 日本語表示
- ボタン
- TextField
- ScrollView
- ダイアログ
- キーボード入力
- 画面サイズ
などを確認したいところです。
特に日本語フォントは、**「Editorでは問題ないのにAndroid実機では表示がおかしい」**ということもあるため、実機確認まで行うのがおすすめです。
6.Android実機で確認する
Unity Editor上で問題がなくても、Androidでは問題が発生する可能性があります。
最低限、
- アプリ起動
- 画面遷移
- タップ操作
- 日本語表示
- キーボード入力
- 数値入力
- ダイアログ
- 画面回転
- バックボタン
- アプリ終了・再起動
- データ保存
- データ読み込み
を確認しておきたいです。
家計簿ノートの場合は、さらに
- 取引登録
- 口座登録
- 集計
- Forecast
- 設定
など、主要機能を一通り触っておくと安心です。
7.Androidのビルド設定を確認する
Unity 6.3ではAndroidのビルドツールが更新されています。
特に、
- Custom Gradle Template
- Custom Main Gradle Template
- Custom Gradle Properties
- Android Plugin
- 独自Androidライブラリ
- 広告SDK
などを利用している場合は注意が必要です。
Unity 6.3ではGradle 9.1.0、AGP 9.0.0へ更新されているため、古いGradle設定やプラグインが影響を受ける可能性があります。
8.広告SDKも確認する
広告を利用しているAndroidアプリでは、Unity本体だけでなく広告SDKとの組み合わせも確認しておきたいところです。
特に、
- 広告が表示されるか
- バナー広告
- インタースティシャル広告
- 広告表示後の画面復帰
- アプリ起動時
- Google Play向けビルド
などを確認します。
9.Player Settingsを確認する
Unityをアップグレードしたら、Player Settingsも一通り確認します。
特にAndroidでは、
- Package Name
- Version
- Bundle Version Code
- Minimum API Level
- Target API Level
- Scripting Backend
- Target Architectures
- Internet Access
- Application Entry
- Icon
- Splash Screen
- Orientation
などを確認します。
「Unityを更新しただけなのに、なぜか設定が変わっている」ということを防ぐためにも、一度見直しておくと安心です。
10.最終的にはGoogle Play向けビルドまで確認する
最後に重要なのが、
「Unity Editorで動いた」=「公開できる」ではない
ということです。
最終的には、
Unity 6.3 LTS
↓
Android Build
↓
実機テスト
↓
Google Play向けAAB
↓
内部テスト
↓
問題がなければ公開
という流れで確認するのが安全です。
Unity 6.3 LTSで特に期待しているところ
今回、登場人物ノートと家計簿ノートを移行するにあたって、個人的に注目しているのは次の3つです。
UI Toolkitの改善
UI Toolkitがさらに強化されています。
特にUI Test FrameworkやSVG、Aspect Ratio、UI Shader Graphなど、UIを中心にアプリを作る場合に面白そうな機能が増えています。
Android環境の更新
Androidのビルド環境が新しくなっています。
Androidアプリを長期間運用することを考えると、今後の環境に合わせていくという意味でも確認しておきたい部分です。
LTSとして長く使える
Unity 6.3 LTSは2027年12月までサポートされます。
頻繁にUnityのバージョンアップを繰り返すのではなく、いったん6.3 LTSに移行して、しばらく安定して開発するという使い方ができそうです。
まとめ
今回は、登場人物ノートと家計簿ノートをUnity 6.1からUnity 6.3 LTSへ移行する前に、Unity 6.3 LTSの変更点と注意点を調べてみました。
Unity 6.3 LTSでは、ゲーム向けの新機能だけではなく、
- UI Toolkit
- Android
- Profiler
- Build Profiles
- Search
- 2D Physics
- アクセシビリティ
など、Unityを使ったアプリ開発全体に関係する改善が行われています。
特にUI Toolkitについては、UI Test FrameworkやSVG対応、USSフィルターなど、今後のアプリ開発で使ってみたい機能が増えています。
一方で、Unityのバージョンアップでは新機能だけを見るのではなく、
「今まで正常に動いていたものが、そのまま動くか」
を確認することが大切です。
今回の移行では、まずUnity 6.1の状態をGitに保存し、その上でUnity 6.3 LTSへ移行。
その後、
- Unity Editorの確認
- Package Managerの確認
- UI Toolkitの確認
- 日本語フォントの確認
- Androidビルド
- Android実機テスト
- Google Play向けビルド確認
という順番でチェックしていこうと思います。
Unity 6.3 LTSは2027年12月までサポートされるため、今回の移行を一区切りにして、しばらくこの環境で「登場人物ノート」と「家計簿ノート」の開発を続けていきたいと思います。
次回は実際にUnity 6.1からUnity 6.3 LTSへプロジェクトを移行して、どんなエラーや警告が発生したのか、そしてどう対応したのかを記録していきます。
参考
Unity 6.3 LTSでは非常に多くの変更が行われています。詳しい変更内容については、Unity公式の「What’s new in Unity 6.3 LTS」やリリースノートも確認することをおすすめします。

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